欠陥住宅をつくらない住宅設計者の会

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地盤の話

マイホームを建てるための土地を購入されるとき、あるいは建売り、すなわち土地付きのマイホームを手に入れられるとき、皆さんは土地についてどの程度お調べになりますか。

敷地の広さ、周囲の環境、日当たりの良し悪し、生活の利便性などが中心で、肝心のホームを支えてくれる土地そのものの物理的性質、つまり地盤の強さ、構成される土の種類、地下水位の状態などに対しては、ほとんど考えられないのではないでしょうか。

表面は硬くても、少し掘れば軟らかい泥土があるかもしれません。家を建てるということは、地盤の上に物理的に家をのせなくてはなりません。そのためには家をのせてもその重みに永久に耐えてくれる地盤であることが最低の必要条件です。皆さんに提示された土地がそのような最低条件を満たしているかどうかは、表面から見ても分かるものではありません。その素地を見破ることが肝心です。

近来の土木技術は簡単に山を崩し、谷を埋め、川を動かし、むかし人々が住むことを忌避したような場所まで、宅地に作りかえてしまいました。しかし、表面は隠せてもその土地が持っていた性質まで変えることは不可能です。やわらかい土地、滑りやすい土地は見ただけでは分かりません。良い土地を手に入れるには、その土地の性質と歴史を知ることが重要です。

むかし溜池であったのか、里山であったのか、水田であったのか、乾田であったのか、谷であったのか、削られた土地なのか、埋められた土地なのか。戦前の地図―大日本帝国陸軍参謀本部陸地測量部が明治24年から大正元年にかけて作った五万分の一の地図と最近の国土地理院の三万分の一の地図を見比べられると良いかと思います。地図は、公立中央図書館に行かれれば見られると思います。

尾張古地図

尾張古地図

最後に、求められる土地の地盤を調査されることをお勧めします。すなわちボーリング調査です。地盤はいろいろな土によって層を形成しています。その層の厚さや固さによって地盤の強さが決まります。水をよく透す土(砂礫層)もあれば、その反対の土(粘土層)もあります。層が傾いている場合もあります。土の性質によって地盤の強さも違ってきます。ボーリング調査は1ヶ所10mで10万円位です。1本のボーリングが家の安全を守ります。家族の命を守るための近道なのです。