欠陥住宅をつくらない住宅設計者の会

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「杜撰な耐震改修・その他工事」補修事例

一級建築士 滝井 幹夫

所在地:名古屋市内  構造規模:木造2階建  用途:専用住宅  築後約40年  改修工事:平成27年

弁護士さんを通じた相談・調査事例で、「耐震改修・その他工事」が杜撰な為に、その改善を求めているが、施工者からは工事代金請求と一定規模の補修意思が表明されている。適正な解決の為の相談・調査が求められました。

弁護士さんとの協議を通じて、訴訟に至らず代理人交渉で解決が可能と判断し、現地調査を依頼者本人、弁護士、施工者、当建築士同席で行う事を提案し、弁護士を通じて三者の合意が伝えられた。

 

現地調査は見積書、請負契約書、略図と関係者からの聞き取りと照合しながら実施した結果、以下の事項が明らかになりました。

  1. 耐力壁の一か所が未施工
  2. 取り替え木製建具の開閉方向の逆が4か所
  3. バルコニー防水勾配不足、取り合い部シーリング・端末金物の不備、トップコートの剥がれ個所が散見
  4. バルコニー手摺の鉄部の穴放置、ケレン不足、塗膜の斑が目立つ杜撰施工、取り合い部のシーリング不足
  5. バルコニー起ち上がり部のクラック補修の不足
  6. 台所床下点検口を塞いだまま放置
  7. コンセント位置、縦・横共に統一性を欠き、不適切
  8. 塗り壁、クロス貼りの斑や隙間、皺などの杜撰施工
  9. 延焼ラインによる防火戸不適合が2個所

施工者は指摘項目に対して「経験不足の担当者に任せた結果で申し訳ない。

全ての項目を補修し、その確認を受けた後で工事代金の精算をお願いしたい」と表明があり。調査依頼者はそれに同意した。

補修工事後に、前回と同様のメンバーで補修確認・協議を行い、①は近接の大壁内で施工済資料が提示され、それを探査機で確認した。②から⑧までは全て補修が適切である事を依頼者も認められ、当建築士業務は終了しました。

後日談で弁護士さんから、工事代金から、弁護士報酬と建築士調査・立ち会い費用に近い金額の減額合意がされたことを知らされました。