欠陥住宅をつくらない住宅設計者の会

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直営工事システム批判

一つの建物や住宅を造るためには、大工工事を始め、約20の専門業種が必要です。主なものとしては、鉄筋工事・型枠工事・サッシ工事・タイル工事・大工工事・電気工事・衛生設備工事などです。

一般的な建築生産方法では、元請け会社を1社決めて、その下請けで各専門業種の会社が仕事をすることになります。そして、欠陥があったり、品質に問題があった場合は、元請け会社に責任を取ってもらうようにします。

直営工事システムとは、元請け会社がなく、これらの工事を建築主と各専門業種の会社とが直接契約する工事方法を言います。

契約するためには、各専門業種で数社の見積りを取り、安い会社と契約することになります。実際には、建築主にそのような知識はありませんから、設計者が代行することになります。理屈で言えば、各専門業種会社(下請け)の安いところを選んでいくわけですから、全体の工事費は安くなると思います。

しかし、次のような問題点があり、結局工事費は高くなることが多いです。

1 各専門業種の調整等のコーディネートが必要(工事費の10%程度の費用が必要)になる。

2 台風などが来たときの対策等、工事中の不測の事態に対する対応ができないことが多い。

3 完成後、雨漏りなどが起きた時に、責任の所在が不明になりやすく、対応できないことがある。

4 各専門業種の安いところを選んでいるから、信頼できない会社や、仕事がずさんな会社が1社でもその中から出てくると、施工上良くない完成品(建築物)になる。

結局は、設計事務所が、コーディネート料と設計監理料を得ることになり、設計事務所にとってはうまみのある良いシステムと言えますが、建築主にとっては、疑問の多いシステムと言えます。