欠陥住宅をつくらない住宅設計者の会

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外壁のタイルが落下した事例

一級建築士 纐纈 誠

所在地:愛知県内  構造規模:RC造・3階て  用途:共同住宅  竣工:平成20年

平成20年に完成した鉄筋コンクリート造の共同住宅で、完成直後に外壁に張られたタイルが数枚落下してきたので、施工した建設会社が補修しました。しかし、建築主としては、今後も安心して使用し続けるために、問題の発生原因が何であるか、補修方法が適切であるか、また、今後発生する心配はないか等について調べてほしいとの依頼でした。

タイルの接着に問題があると考えられたので、手が届く範囲を打診棒でたたいてタイルが浮いていないか調べてみました。そうすると、建物のかなり広い範囲でタイルが浮いており、周辺の歩行も危険があることがわかりました。この建物のタイルは、コンクリート面に接着モルタルでタイルを張る“圧着工法”が用いられていましたが、タイルの押し付けが不十分であったことにより、しっかり接着していなかったことが原因です。

早速、調査報告書を作成し、それを元に建築主から建設会社に連絡して、調査及び補修をするように依頼したのですが、なかなか自社の非を認めず良い返事がいただけませんでした。そこで、私が立ち会って状況を説明し、足場を組んで建物全体を調べる必要があること、また、正しい補修方法等について説明しました。建設会社側もしぶしぶ了解して、足場を組んで、私立ち合いの下、全面を調査しました。

当初は、浮いているタイルにドリルで小さな穴をあけ、接着剤を注入して固定しようと考えましたが、使用しているタイルが柔らかいタイプのもので、穴をあける際に割れてしまうことから、浮いているタイルはすべてはがして、新しいタイルに張り替える方法で補修しました。

打診棒による打音検査をしているところ

浮いているタイルをはがしたところ