欠陥住宅をつくらない住宅設計者の会

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ハウスメーカーの落とし穴②

Sハウスの場合

「ハウスメーカーの営業マン・現場監督の連携・対応が悪く、家具が納まらなくなり壁の位置を変更して無理やり納めました。小屋裏の収納梯子は、重い荷物を運ぶ予定だったのですが、軽い物しか運べません。和室とフローリング床に10ミリの段差が発生、他にも不具合部分・変更に伴う食い違い等があります。メーカーは“直す”と言っておきながら今になって金銭解決を迫っています。竣工引渡日は20日後です。キチッと手直しさせたいがハウスメーカーは信用できないので、完了検査を第三者の建築士にお願いしたい」という相談がありました。

相談者は構造部分の検査も期待されていましたが、竣工引渡し前のみの検査では、せいぜい小屋裏・床下から目視できる部分となり、当然隠れて見えない部分は検査できません、限界があります。単なる[出来栄え検査]になってしまう恐れが充分あり、「第三者検査のメリットが全く発揮されません」とお伝えしました。「建築確認申請書・工事中の打合せ記録はありません、工事写真も一切撮影していません」とのこと。変更内容の経緯・工事内容・工事方法も確認できないので、手直しについての強制力も弱く、限界があります。第三者の完了検査に拠らず相談者自身で対応する場合は、これまでの経緯の文書化・現状記録写真を撮って、引渡し時の写真をメーカーのカスタマーセンターに提示し、「何も直そうとしないことを伝え、建築主としては手直しを要求する」ことを主張する以外に方法が無いことを助言しました。そして、メーカーの正式回答を要求すること、建築確認申請書等を含めた竣工図を受取ること、更に、手直しが決まった場合は施工図・工事工程表の提出を要求するようにと付け加えました。

営業マンと現場監督の資質に、自分の家づくりが委ねられています。専門的なチェックは素人に出来ないので、信頼できる建築士に、工事途中の検査をお願いしましょう。