欠陥住宅をつくらない住宅設計者の会

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木材の含水率調査

一級建築士 寺島 一朗

所在地:岐阜県内  構造規模:木造(軸組構法)2階建て・29坪  竣工:新築工事中

1年2ヵ月前から新築工事中の木造住宅の調査です。基礎工事が終わり、上棟前に土台伏せと1階の床合板が施工された後雨に降られ、基礎の中に雨がたまり、さらに養生が不完全のためホゾ穴(柱を立てるために土台の木材にあけてある穴)に水が溜まったとのことでした。そのため、合板の下側などにカビが生えてしまい、1年ほど経過した最近になっても土台の含水率が高いので調査して欲しい。との事でしたので土台の木材の含水率の調査を行いました。

含水率の計算式は、
含水率(%)=(試験木材の重量(g)-全乾燥重量(g))×100
              全乾燥の重量(g) 
で表され、一般的に構造材は、含水率18~20%以下の材料を使用します。
木材の含水率が高い場合には、
1 強度の低下
2 乾燥後の収縮による変形
3 シロアリ被害の増加
4 カビの発生
などの問題があります。

当会には含水率計がありますので、その測定器を用いて含水率の計測を行いました。木材の含水率は樹種によって異なります。図面を確認したところ樹種は明記されていませんでした。依頼者へのヒアリングと目視により「ヒノキ」と判断して測定しました。さすがに雨に濡れてから1年程度経過していたので、含水率に大きな問題はありませんでした。しかし、依頼者の心配していたホゾ穴の内部の状況は、工事が進行しており柱が立っていましたので残念ながら確認することはできませんでした。構造上問題の無い柱を撤去してホゾ穴の内部を確認することを提案しまた。

現場は、仕上げがされてなく木造の金物がある程度確認できる状態でした。現状にて確認できた金物の問題点や筋交いの問題を指摘しておきました。

今回の調査は、問題の発覚後1年程度経過してからの調査となってしまいました。調査をもっと早くしていれば、違った調査結果になった可能性があります。問題を発見された場合には、早急に相談されることをお勧めします。

調査機器と調査風景