欠陥住宅をつくらない住宅設計者の会

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建築家斡旋業の危うさ

建築家斡旋業の危うさ

Kさんは守山区の景勝地に土地を購入。新聞の情報欄で、あるデザイン事務所S社の存在を知り、どこよりも安く、予算内で比較的大きな家が建てられるとあって依頼した。『デザイナーズハウス』を謳うS社では、設計者は5人の建築家によるコンペを実施し、施工者は合見積によって工務店を選択するというシステムをとっている。設計者、施工者は完全分業になっているがともにS社の下請け的存在で、工事が始まってもS社の窓口S氏がときどき見に来る程度で、確認申請書面に工事監理者として記名のある建築士(設計者)は現場に一度も来なかった。

山の斜面を造成したが、規模は2m以内の切土で収まっていて許可は比較的簡単に下りた。しかし、既存の樹木を撤去したため敷地は盛土の状態になるにもかかわらず、地質調査や地盤対策は一切されなかった。そして入居後数年で、建物は不同沈下を起こし、地下水の影響で基礎下の土が流されて外構ごと滑るように大きく傾いてしまった。さらにデザイン重視のために樋が足りず、雨水の処理能力が欠け、防水や漏水対策も稚拙であったため、傾きと雨漏りで構造体への影響がかなり深刻な欠陥住宅になってしまった。

また、S氏とは完成間近になって金銭でもめ、連絡を取らなくなってしまっていたが、この問題が発覚した時は、施工者が倒産してしまっていた。

現在、施工者の元関係者が責任を感じて補修対応しているがS社は何もしない。ブローカーであって建設業者ではないからか。また、S氏も自称『専門のプランニング家(?)』で、建築士ではなかった。建築の技術も責任もない立場でひと儲けしているだけである。すべての斡旋業者がS社のように絵と口がうまいだけで技術を持たないとは言えないが、斡旋された建築家が監理の仕事を全うできない仕組みは百害あって一利なし。利用しないほうがよい。