欠陥住宅をつくらない住宅設計者の会

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木造の構造計算と筋違い計算の違いは?

筋違い計算とは、現在のようにパソコンが発達していなかったときに、難しい計算をしなくても、地震に対して筋違いなどの耐力壁の量を決めることによって、木造建物の安全を確保するということで考え出された計算方法です。その後、地震のたびごとに改訂され、阪神淡路大震災で壁の強さ(筋違い)を平面的にバランスよく入れるという大きな改訂がされました。しかし、建築基準法の筋違い計算では、1階と2階を別々に、2次元的に建物の広さ(平面図)と形(立面図)で壁の強さと量の最低基準を決めています。

これに対して構造計算とは、鉄筋コンクリート(RC)造や鉄骨(S)造と同じく、許容応力度計算をすることを言います。つまり3次元的に構造の強さを計算して、施主の意向・目標により壁の強さと量を決めているということです。施主の意向・目標とは、品格法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)でいう構造強度1.25倍、1.5倍などを設定します。

建築基準法だけをクリアーすると、品確法でいう「構造強度1.0と言われています」が、品確法の1.0と建築基準法1.0では、品確法のほうが強いと考えます。つまり、筋違い計算では、1階と2階の壁の位置が違っていて(間崩れと言います)、構造的に力が伝わらなくても関係なく、壁の強さが決まっているということです。実際には、1、2階の壁の位置が違っていると力が伝わりにくくなっていますので、建築基準法ではOKになるが、構造計算をするとNGになる(地震に弱い)という住宅ができます。

実際に、平成3年に建築された住宅の相談を受け調査した時に、どう考えても構造的に問題(耐震診断0.3)だと思われたものが、確認申請上の筋違い計算をやってみるとOKと出ました。

今後は、木造住宅といえども筋違い計算ではなく、構造計算を設計者・施工者に依頼しましょう。