現場を指導しない(出来ない)建築家
「環境をキーワードにした若手建築家に、鉄骨2階建ての事務所建築物を自宅に改修する工事内容で設計監理を頼んだが、どうも現場が変だ、何処を・どのように・どのタイミングで指示をしているのか、等の疑問があり、現場をチェックして欲しい」という依頼がありました。具体的な問題点としては
・間仕切壁の柱が、ホームセンター等で売っているクランプ(仮止めのクリップのような物)で、既設鉄骨梁に取付てあるだけ(写真1)。その壁の高さは5m近くもあり横幅が広い、更に車庫のシャッターの開閉でその壁に強い風が当るのに、補強が無い。
・床フローリングの具体的な割付指示が出ておらず、半端な継ぎ足しで出来上がり、見苦しい(写真2)。
・壁と床のコーナー部分に、床下地を受ける部材が見当たらず、隙間のまま放置(写真3)。
・壁のコーナー部分に、下地が不足し、壁が凹む恐れがある(写真4)。
・造りつけ家具のビス穴が見えたまま放置。
・厚みの薄い壁があり、壁を押すと、たわむ。
など他にも多々ありました。現場にて建築主との打合せはするが、監理は行われていませんでした。問題点について指摘をすると、「改善します」と抽象的な返事のみで、何をどのようにするのか具体的な返答はありませんでした。
建築主はホームページを見て、「かっこイイ」のみで建築家を選んだとのこと。
建築家・設計者を決める場合には、数千万円の自分の住まいを・夢を託すわけですから、工務店や大工から話を聞く、住み手から話を聞く、など色々な手段にて情報を集め、充分吟味しましょう。