欠陥住宅をつくらない住宅設計者の会

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弁護士のひと言

あなたの家が欠陥住宅だったら

平成26年3月28日

弁護士 石川 真司

「夢のマイホーム」と言われるように、住宅は,ほとんどの人にとって一生に一度の最も高価な買い物です。しかし、やっとの思いで手に入れたマイホームに欠陥があったら…。考えただけでぞっとする話ですね。

不幸にして欠陥住宅をつかまされてしまったら、その人はどうやって救済されるのでしょうか?また,業者に対して,何を請求することができるのでしょうか

もめことは話し合いで解決するに越したことはありません。そこで、示談交渉を試みるのですが、それ以外にも簡易裁判所の民事調停や、各地弁護士会の紛争解決センターなどを利用することが考えられます。これらの手続きは、裁判所の調停委員や弁護士会のあっせん委員等の第三者に間に入ってもらって、お互いの意見を調整して話合い解決を目指すものです。うまくいけば比較的安い金額で、かつ早く解決ができます。しかし、難点はどちらも強制力がないことで、両当事者のどちらか一方が話し合いの席に着かなかった場合や、意見に隔たりがあって合意に達しない場合にはそこで手続きが打ち切りになり、紛争を解決することはできません。これに対して訴訟は、判決で白黒をつける手続きです。訴訟提起した場合のすべてが判決で解決するわけではなく、和解で解決する場合もたくさんありますが,ただ、調停などと違うのは、当事者間の話の折り合いがつかなくても、最後は判決によって裁判所の判断が示されますので、そういった意味で紛争が強制的に解決されることになります。当事者の対立が激しくて話し合い解決ができないような場合には、裁判所に訴訟提起するしかありません。

次に,被害者が業者に対して何を請求できるかです。住宅の取得方法(売買か請負か),欠陥の内容,責任追及の相手方によっても変わりますが,補修請求や損害賠償請求が考えられます。損害賠償は補修費用相当額が中心で,欠陥が重大で建替えるしか補修方法がないといった場合には,建物の取壊し,建替え費用の請求が認められることもあります。さらに、欠陥調査にかかった費用、弁護士費用や場合によっては慰謝料の請求が認められる場合もあります。

ただし、注意しなければならないのは、施主や買主の不満がすべて欠陥と認められるわけではなく、基本的には、建築基準関係法令などの一定の基準に照らしてそれに反する場合などが欠陥と認定されて、それに対する損害賠償などが認められるということです。住宅に対する不満を持つと、それが高じてあれもこれも“欠陥”と思いがちですが、何が法的に欠陥と認められるのかをよく整理しないままでは、かえって問題を複雑にし,解決を困難にしてしまいます。また,業者に対する法的責任追及には,期間制限があり,時効などで請求ができなくなってしまうこともあります。したがって、欠陥住宅かなと思ったときは、できるだけ早期に、こうした問題に詳しい建築士や弁護士に相談した方がよいでしょう。