欠陥住宅をつくらない住宅設計者の会

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弁護士のひと言

欠陥住宅訴訟における建築士と弁護士の役割

 

欠陥住宅被害東海ネット事務局長 弁護士 水谷 大太郎

欠陥住宅問題の解決には、建築士と弁護士の共同作業が必要不可欠です。

具体的な事例で、どのような共同作業を行うのかを見てみましょう。

平成18年、造成地の建売住宅が不同沈下を起こしている事件を受任しました。購入は平成5年、すでに10年以上経過している事件です。

まず、建築士と現場調査で現地を訪れました。建築士に傾きを測定してもらい現状を把握します。建物は10/1000を超える傾きが広範囲で発生しており、2階に上がると酔ったような気分にすらなるというひどい状態でした。しかし、欠陥住宅訴訟は、現状がいくらひどいからと言って勝てるものではありません。訴訟において議論されるのは、「現状のひどい状態が、どのような原因から発生しているのか」、さらには「その原因は、建築基準法令等に違反するものなのか」という点だからです。

本件では、その後地盤調査を行い、地盤が軟弱であることが判明しました。地盤調査にあたっても、どの方法で調査をするか、また、どの箇所で調査をするか等、建築士と弁護士が協議をして決めることが重要です。訴訟において議論となっている部分を的確に調査するためです。

原因が判明した後は、補修方法の議論に移ります。原因を除去し、現在の傾きを補修するために必要なのはどのような工事で、それにはいくらかかるのか等、補修方法の決定とその見積りには、建築士と弁護士の協議が必要不可欠です。必要十分な工事である必要はありますが、過大な請求をしても、訴訟を混乱させ、紛争を長期化させるだけです。

このような協議を重ね、本件では、当方の主張がほぼ全て認められる勝訴判決を得ることができました(控訴審にて和解)。

以上のとおり、欠陥住宅訴訟では、建築士と弁護士の協力体制が極めて重要です。上記事案のように訴訟となるケースはもちろん、業者との交渉の段階でも弁護士にご相談いただくことをお勧めします。交渉段階においても、被害者の代理人として交渉窓口になれるのは弁護士だけです。また、ご自身で交渉をされるという場合でも、どの欠陥を主張するのかの取捨選択等につき、弁護士の法的観点からのアドバイスにより早期解決につながることがあります。問題に気づいたら、早い段階で弁護士にもご相談下さい。

欠陥住宅被害東海ネットは、欠陥住宅被害の予防や回復を目的に東海地方の弁護士・建築士・消費者によって1999年11月に結成された団体で、NPO法人欠陥住宅をつくらない住宅設計者の会の建築士の多くも参加しています。

上記事例は購入後10年以上経過している被害でしたが、このような場合でも、ケースによっては責任追及が可能です。住宅問題を扱う弁護士が必要である場合はもちろん、ご自身のケースで弁護士の関与が必要かどうか分からないといった場合でも、弁護士との初回面談は30分間無料です((30分以上の場合は、以後30分ごとに5000円{消費税別})。お気軽に、ご相談下さい。)。お気軽に、ご相談下さい。