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建築士のひと言

「建築現場での表示板について思うこと」

平成25年10月25日

一級建築士 津島 勝弥

私の住む地域でも、住宅の新築工事が増えています。

最近はミニ開発というか、倉庫や施設などの跡地などのまとまった土地を区画した現場が目立ちます。消費税増税(予定)前の駆込み需要を見込んでのことでしょう。

 

公設市場の跡地で、6つに区画したうち3区画で分譲住宅の工事が始まりました。(毎早朝、業務前の現場の脇を通るのですが、)境界ブロックが設けられ、基礎工事に着手してからもいっこうに表示板が設けられません。『建築基準法による確認済』看板です。

基礎施工中には看板が出ると思ってから、はや数カ月。すでに現場の3棟は上棟を終え、サッシも付き、壁下地の胴縁が取付けられた状態で、外壁を取り付けるばかりです。

でも、まだ表示版は3棟とも出ていませんでした。

近隣の新聞販売店の店主は「すぐ近くに暴力団事務所があるので、嫌がらせの対策で出さないのかな。」と、とくに気にしていなかった様子。

近隣はもともとマンションや老人世帯、空き家が多く、増え続ける戸建て住宅は気になるところであっても、看板は気にしないのが事実かもしれません。

表示板は、建築基準法で工事現場の見やすい位置に掲示することが定められています。(建築基準法第89条および第102条・様式は施行規則第11条)

そして先日、その表示板が掲示されました。見やすいところどころか、目立たないように工事関係者用の仮設トイレの壁面に、3棟分を並べて貼ってありました。うち2棟は、裏側の別の道路に面した敷地なので、看板は掲示すべき場所に建てられていません。

また、知立市の市役所近くの現場では、この表示板に上からテープが張られていました。建築主名を読めないようにしています。別件で一緒に行動中だった同市の建築課の人に尋ねると、施主名を伏せることがこれからあるかもしれないということでした。これは、昨今の、個人情報の扱いなのでしょうか。申請時に出す計画概要書の閲覧も、今や書類を丸ごと閲覧できないようです。

※名古屋市内で、鉄骨建方が終わっているのに何の看板もない現場があります。施工者すらわかりません。また、中高層建築物に義務付けられる計画概要看板で、様式どおりのサイズと文字で大きく作成された看板に、12ポイント程度で印刷したシールを貼っただけの現場がありました。顔を近づけても読めないものを看板というのでしょうか。